鳥取市歴史博物館に程近い鳥取東照宮(かつての因幡東照宮)の神域には、杉の巨木がいくつかあります。参拝・散策される方は目にしている方もあると思います。中でも幹回りが5メートルを超えるような大径木が知る限り3本あって、最も太いものは東照宮拝殿の右側にある杉です。樹高は40m程度と思われ、最近幹回りを計測しましたら5.23mありました(胸高1.2mを計測)。
実は10年余り以前にも『樗谿を歩く―歴史と自然のフィールドワーク―』という小冊子を鳥取市歴史博物館で発行した際に計測しているのですが、その時は5.22mでした。わずか1cmの差はほとんど計測の誤差のようなものでしょう。長い年月そこにあり続けた巨木には、10年の歳月も短い一時なのでしょう。
当時、鳥取大学と共同で実施した樹齢調査では、この杉の樹齢は、307年+数十年という結果でした。「数十年」というのは、杉の中心に計測器が届かなかったからです。私たちは概ね東照宮が創建された慶安3年(1650)頃に境内荘厳化のため植林されたものであると考えました。
歴史を調べることも一時の積み重ねで成り立つものと考えています。開館18年目を迎えた鳥取市歴史博物館はまだまだ若い博物館のはずで、様々なことにチャレンジしたいと思います。(伊藤康晴)
【メモ】
このほか杉の巨木は、大鳥居の奥付近(中の門の横)にあるものが幹回り約5.1m。随神門前の御手洗の池(王子の池)にある滝壺跡の上(太閤ケ平に至る中国自然歩道沿い)にも5m程度のものがあります(危険なので測っていません)。もしかしたら山中には他にも杉の巨木があるかも知れません。