2025.6.12

田植えの道具⁈ 

暦の上では鳥取地域も梅雨入りの季節となりました。地域の田んぼには水が張られ、次々に田植えが進み、苗の青が広がっています。

現在では田植えは機械を使って行うことができますが、稲作が全国に広まったとされる弥生時代では人々は手作業で田植えをしていました。その方法は、稲の種もみを直接水田に蒔く方法もあったかと思いますが、遺跡の発掘調査で稲株跡が見つかったことから、苗代で育てた苗を小さい区画の水田に移植する「田植え」が行われていた可能性が高いのではと考えられています。

さてその田植えですが、現在でも各地で田植え体験イベントが行われ、子供たちがぬかるんだ田んぼに入り元気に田植えをしている姿がニュースで流れたりします。泥に足を取られて転んだりする姿も見られます。

弥生時代以降の田植えでは、泥に足が沈むのを防ぐ道具として「田下駄」が使われていました。鳥取市内の弥生時代や古墳時代の遺跡からも田下駄が出土していて、現在当館の常設展示室でも弥生時代のコーナーで種類の違うものや、作り方が分かるものなどを展示しています。

 

ただこの田下駄、確かに足は沈みにくいのですが、付けたまま歩くのはなかなか難しいようで、いずれにしろ古代の田植えって本当に重労働だったのだなあと改めて考えさせられます。

 

米不足が取りざたされて久しい今日この頃ですが、一度当館で田下駄の実物をご覧いただきながら稲作について思いをめぐらせてみられては如何でしょうか。

東桂見遺跡出土の田下駄DSC08416(軽量版)