2年前の2020年6月24日に「泉水のある風景・樗谿~山本宗林のつくった東照宮水辺の風景~」という記事を掲載しています(写真入り)。樗谿は東照宮の建立のため今から370年余り以前に人為的に開発され、その後、東照宮神苑は山本宗林という鳥取藩の作庭家によって修景(風景を整備すること)されたことを紹介しました。山本が作庭した神苑の中心部、随身門前の「王子の池」に、瀑布と共に彩りを添えていた樹齢200年以上になろうかというモミノキ(樅)が年末の雪で倒れてしまいました。
今年の正月元旦、携帯が鳴り、何事かと思うと、「東照宮の門の前、池のところの大木が倒れています」と。早速、まだ雪で覆われた樗谿に赴いて現場を確認することにしました。知らせて下さった方は、筆者が以前よりこの風景やモミノキを記事にしていることを知る方でした。樹木の幹は根からかなり高い位置まで大きな樹(じゅ)洞(どう)(ウロ)があり、年末に降った重い雪や強風の影響で倒れたものと思われました。外からは太くしっかりした幹に見えましたが、幾度となく繰り返された風雪に長年耐えていたのだ、ということがようやく理解されました。参道には、倒れ掛かった枝からはずれた球果(松ぼっくり状のもの)が散乱していたので2つ持ち帰らせてもらいました。1つは保存用に。1つはプランターに球果の種子を埋めてみたのです。
春、鳥取で桜の開花宣言がなされた2日後、稚樹が3つ芽生えてきました。丈夫に成長しましたら、いつかは東照宮の神苑か樗谿公園に植樹できないかとひそかに願っています。
(伊藤康晴)
メモ
「鳥取東照宮神域のモミ」については、2019年8月7日に記事にしていますのでご参照ください。